夢まであと一歩だった2020
こんにちは!
バレエピアニストのHaRuKaです。
2020年が終わる前に、1つお知らせしておきたいことがあったので、この場を借りて報告させていただきます。
タイトルの通りなのですが、大きな夢が叶い、そして破れてしまったお話です。
今回は少し長くなりますが、その経緯から現在に至るまでの出来事をすべて綴っていこうと思います。
私は今ロンドン各地のバレエ団やバレエスクールでお仕事をしていますが、元々の渡英のきっかけは、ロイヤルバレエ団のピアニストになりたいという強い思いがあったからでした。
(ロイヤルバレエ団のホーム、ロイヤルオペラハウス)
勤めていた日本のバレエ団のお仕事をすべて辞めて2019年の9月に渡英したのも、2020年の3月に開催されるロイヤルバレエ研修ピアニストオーディションに参加するためでした。
今思えば、多分人生の中で1番全てをかけて挑んだオーディションだったと思います。
課題曲であったリストロ短調ソナタや春の祭典といった超難曲は、自分の力量不足をカバーするため当時在学中だったトリニティラバン音楽大学に毎日缶詰になって練習しました。
また暗譜(譜面を見ずに弾くこと)の指定はありませんでしたが、少しでも他の候補者と差をつけるため、課題曲はすべて暗譜で挑むことに決めました。
特に春の祭典は短時間で覚えられるような曲ではなく、もう暗譜は無理かもしれないと20回は思いました。(笑)
あの曲を諦めずに暗譜で弾けたのは、当時完全に心が折れていた私に「この曲を心から好きだと思ってあげてる?愛を持って向き合うことで、曲から語りかけてくるのよ」と伝授してくださったゆうこさん (当時ロンドンにいらっしゃった、私が尊敬してやまないお姉様)のおかげに他なりません。
ターニングポイントを作ってくれたゆうこさんを始め、直前までレッスンをしてくれたデニス先生、30分以上ある曲を暗譜の練習になるからと何度も聴いてくれたジョーダン、たくさんの方々に支えられてオーディションでは無事暗譜で最後まで演奏することができました。
後日談ですが、試験の部屋に楽譜を持たず入ったのは私だけで、身一つで試験場に入る姿はかなり印象的だったようです。
死ぬほど大変な思いをしましたが、頑張って良かったと思えた瞬間でした。
オーディションでは上記の課題曲の他にバレエクラス用の初見や即興の試験もあり、そのあと軽い面接を経てオーディションは終了しました。
そして結果発表の時間に集合場所に行ったときのことです。
審査員の1人でもあったロイヤルバレエ団 Head of Musicのロバート・クラークさんが他の参加者が集まる前にちょいちょいと私を手招きして、ちょっと近くのカフェスペースで話そうと言うのです。
元々ロバート・クラークさんに憧れてロイヤルバレエ団のピアニストになりたいと思っていた私はド緊張もいいところ、2人で話すことになり演奏以上にドキドキしながら彼の後に続きました。
そしてそこで言われたこととは…
想像以上のことでした。
なんとロイヤルバレエ団、フルタイムピアニスト枠へのお誘いだったのです!
「僕たちは君の演奏に感銘をうけた、特にリストソナタと春の祭典は素晴らしかったよ。これは研修ピアニストのオーディションだったけれど、どうだろう。プロバレエ団での経験もあるようだし、ロイヤルオペラハウス専属ピアニストとしてぼくたちと一緒にフルタイムで働くことに興味はあるかい?」
その言葉をかけられた時の感動は今でも忘れられません。
拙い英語力ではありましたが、一生懸命感謝と、せひやらせていただきたいという思いを伝えました。
その後ロイヤルオペラハウスの人事部とやりとりが始まり、オフィシャルレター(正式な雇用書類のようなもの)が届く直前のことです。
Covid19がにわかに猛威をふるい始め、イギリス政府から初のロックダウンが宣言されました。
人事部からは状況が落ち着いたらまた連絡すると1通メールが来たっきり、事務手続きは完全に停止します。
そして5月、6月、7月…と時が過ぎていきますが、感染状況は悪化していくばかり。
私も本来ならロイヤルオペラハウスから出るはずだったワークビザが怪しくなってきたので、ビザは自主取得になり(念のため応募していたYMSビザが運良く当選していました!)、申請のため帰国を余儀なくされるなど慌ただしい日々が続いていました。
そしてついに、11月。
人事部から1通のメールが届きました。それはとても丁寧な文章でしたが、要約すると
【今年度のピアニスト募集は中止することを決定した】
ということを知らせる内容でした。
そのメールを読んだ時、胸の奥がジーンと響くような、あの辛い感覚を今でも覚えています。
過酷なオーディションを経て、ずっと夢だった場所にたどり着いたと思った矢先、手のひらからこぼれるようにまたすり抜けていってしまったなと。。
しかし、ロイヤルオペラハウスも、ロックダウンにより公演をすべて中止しなくてはいけなくなるなどかなり打撃を受けているので、苦渋の決断だったことはよく理解できます。
誰のせいでもないからこその、もどかしく辛い気持ちでした。
そんな一連の出来事を経て、現在はロイヤルバレエ団の募集状況をチェックしながら、依然としてロンドンの複数のバレエ団、バレエスクールでお仕事をさせて頂いています。
これが2020年最後のブログとして皆様にお伝えしたかったストーリーとなります。
夢が叶いも破れもした、私にとっては激動の1年でした。
またロイヤルバレエ団から募集は来るのか、オーディションがあるのならまた一からになるのか…?
今のところも何もわかりませんが、いつなんどき何が起きても対応できるよう、2021年もひたすら努力し続けようと思います。
またチャンスが来ると信じて、前を向いて歩み続けて参りますので、これからも見守って頂けたら嬉しいです😊
さて、年末スペシャルバージョンですかね、今回は長くなってしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。
2021年も一緒に楽しく全力で駆け抜けましょう!
それでは、良い年の瀬をお過ごしください🙏
また更新します✨
HaRuKa🌸
YouTubeで演奏もUPしているので、こちらもぜひよろしくお願いします♪